1.自治体へのヒアリングの方法・内容
自治体への質問紙調査と並行して、詳細を調査するため、自治体へのヒアリング調査を 実施した。自治体の選定基準は次の4つである。
・母集団は、質問紙調査回答自治体とし、全国の各ブロックから各1か所を選定する(北 海道、東北、関東、甲信越、東海、近畿、北陸、中国、四国、九州・沖縄の計 10 ブロ ック)
・自治体の規模を考慮し、政令市から町まで選定する
・所管(児童福祉所管、教育委員会所管等)や運営主体(公営、民営)を考慮して選定 する
・児童館内での放課後児童クラブの実施を考慮し、選定する
選定にあたっては、研究員からの情報や関係機関からの資料、先行研究も参考にした。
選定結果は、表 3-1-1の通りである。
表 3-1-1.自治体ヒアリング調査対象
ブロック 調査対象自治体 自治体
規模 所管 児童 館数
設置 運営形態
館内児童 クラブ実施 1 北海道 北海道中標津町 町 福祉 5 公設公営 ○ 2 東北 宮城県亘理町 町 福祉 4 公設公営 ○ 3 関東 埼玉県北本市 市 福祉 1 公設民営 ○
4 甲信越 新潟県新潟市 政令市 福祉 13
公設公営 公設民営 民設民営
△1
5 東海 静岡県静岡市 政令市 福祉 11 公設民営 ○ 6 近畿 和歌山県橋本市 市 教委 4 公設公営 × 7 北陸 福井県福井市 市 福祉 29 公設民営 ○ 8 中国 山口県下関市 中核市 福祉 4 公設公営 × 9 四国 愛媛県今治市 市 福祉 9 公設公営 × 10 九州・沖縄 沖縄県浦添市 市 福祉 11 公設公営
公設民営 ×
ヒアリング対応者は児童館所管課担当職員を基本にして依頼した。管理職が同席した自 治体もある。
1 一部の児童館で実施している。
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研究員は複数を派遣することにより、正確性を担保し、且つ多角的な分析を実施するこ とを基本とした。なお、一部自治体については日程の都合が合わず、研究員1名で実施し たところもある。
ヒアリングは半構造化面接(90~120 分)とし、構造化された項目(表 3-1-2)は、研 究会にて検討し、事前に対応者に送付しておいた。
ヒアリングを効率化するため、時間的余裕のある自治体には、以下の事柄について事前 に資料提出を求め、事前に研究員が読み込んで、訪問することとした。
①自治体における児童館の概要(活動内容が記載されたもの)
②児童館を所管する部署が明記されたもの
③児童館数や運営主体の内訳等が明記されたもの(一覧表など)
④児童館に関する公報資料(パンフレット等)
⑤児童館にかかる「条例」「指針」「実施要綱」「答申」「計画」その他の通知
⑥児童館関係予算(公表可能なもの)
⑦倫理規範や安全対策に関する資料
⑧その他、公表されている資料で参考になりそうなもの
ヒアリングに合わせて各自治体の児童館視察を行うこととした。これは、ヒアリング内 容の妥当性を検証することや、先駆的取り組み事例や日頃の児童館活動の様子について、
研究員が直接知ることにより、調査内容を深めることを目的としたものである。なお、過 去に研究員が複数回訪問したことがある自治体については、視察を省略している。
ヒアリング実施日等の一覧は表 3-1-3の通りである。
表 3-1-2 ヒアリング項目
大項目 内容
1.児童館設置数 全数ならびに、設置運営形態(公設公営、公
設民営、民設民営)ごとの設置数 2.児童館に関する行政方針・施策上
の位置付け および具体的活動事例
放課後子ども総合プラン、子ども・子育て支 援制度との関係性など
3.児童館ガイドラインの影響または 評価
「全国児童館実態調査」(市区町村用)P4の 問 24~29 参照
4.児童館ガイドラインの「活動内容」
に当てはまる活動事例
(1)遊びによる子どもの育成 (2)子どもの居場所の提供 (3)保護者の子育ての支援
(4)子 ど も が 意 見 を 述 べ る 場の提 供 (子 ど も 参画・子どもの権利)
(5)地域の健全育成の環境づくり (6)ボランティアの育成と活動 (7)放課後児童クラブの実施 (8)配慮を必要とする子どもの対応 5.児童館ガイドラインに基づく運営
の実態
(1)家庭との連携 (2)学校との連携 (3)地域との連携
(4)児童館職員(児童館長、児童厚生員) (5)児童館職員研修
(6)設備面 (7)運営主体 (8)運営管理 6.児童館における家庭・地域の福祉
的課題に対応した活動内容・運営方法
虐待防止、ひとり親家庭支援、貧困対策、学 習支援など
7.児童館設置地域のニーズ把握や社 会資源との連携・協力のための方法・
工夫
8.児童館の評価方法 自己評価(運営者・児童厚生員)・利用者評 価・第三者評価
9.児童館に関する行政課題および今 後の展望
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表 3-1-3 自治体ヒアリング実施一覧
調査対象自治体 担当
研究員 調査日 視察先
1 北海道中標津町 野中 11/2 中標津町児童センター
(中標津町長からも話を伺った)
2 宮城県亘理町 齋藤
西島 1/20 亘理町中央児童センター 3 埼玉県北本市 柳澤
齋藤 12/24 北本市立児童館 4 新潟県新潟市 植木 12/22 新潟市白根南児童館
5 静岡県静岡市 依田 11/17 静岡市麻機児童館 静岡市豊田児童館
6 和歌山県橋本市 中川
依田 2/9 きしかみ子ども館 7 福井県福井市 植木
依田 1/8 福井市たちばな児童館 8 山口県下関市 中川 1/18 ひかり童夢
9 愛媛県今治市 阿南 1/19
(研究員が過去に市内全ての児童館を訪問 しているため、今治明徳短期大学「めいたん パーク」を視察した)
10 沖縄県浦添市 依田
阿南 12/14 うらそえぐすく児童センター 森の子児童センター
2.結果
(1)北海道中標津町における児童館施策
【ヒアリング調査概要】
調 査 日 調査場所 対 象 者 視 察 先 研 究 員
平成 27 年 11 月2日(月)
中標津町児童センター(北海道標津郡中標津町東8条南3丁目)
中標津町町民生活部子育て支援室 室長 高松 絵里子氏 中標津町児童センター
野中 賢治
① 中標津町の児童館の概況
中標津町は北海道の東部、根室管内の中心に位置し、管内の中核的な町として、近隣町 村からの転入者のほか、退職後の定住地として居住する方も多く、人口は平成 21 年に初め て 24,000 人を超え、その後もほぼ横ばいで推移している。
児童館は5館設置され、全てが公設公営で運営されている。小学校区に1箇所以上設置 されており、人口割合に対して恵まれた環境にあるといえる。
すべて の児童館で、館内に放課後児童クラブを設置し、平成 15 年から保護者ニーズに応 えるべく時間延長や定員枠の拡大に取り組んできている。児童館の来館児童については、
子育て支援室の指導の下で、児童館職員が子どもの養育環境を視野に入れた援助を行うよ うに心がけている。児童クラブは、一般来館児童との一体的な活動を基本としており、児 童クラブ児童・一般来館児童が一緒になって児童館全体の活動としてのイベント・行事を 組み立てているのが特徴といえる。
平成 15 年度からは子育て支援事業、地域連携事業、中高校生活動プロジェクト事業に も取り組み、その結果、児童人口が減少している状況にあるにもかかわらず、児童館利用 者数は年々増加している(平成 15 年約 44,000 人、平成 27 年度約 80,000 人)。
平成 27 年度には、児童館機能、中高校生の交流や活動の拠点となる機能、並びに子育 て家庭への支援機能を持つ、乳幼児から高校生までを対象とした児童健全育成の核となる
「中標津町児童センター」が建設されている。この建設には「平成 23 年度から地域の中高 校生による「建設プロジェクトチーム」を結成して、『ありのままの自分でいられる場所』
を基本コンセプトとして、基本構想、設計、建物内外の配色に至るまで要望や意見を取り 入れた施設建設を推進してきた」とのことである。
② 児童館に関する行政方針・施策上の位置付け
中標津町は、平成16年度に策定した中標津町前期次世代育成支援行動計画(平成 17年
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度~平成 21 年度)において、初めて、子育て支援や地域の拠点施設、並びに虐待や要支 援家庭への対応などにも取り組むべき施設として計画に盛り込んだ。
その後、中標津町後期次世代育成支援行動計画(平成 22年度~平成26年度)では、児 童館を中標津町子育て支援策の拠点として位置づけるとともに、次世代のリーダーともな る中高校生の活動の推進も含めた総合的児童センターの建設計画を策定した。児童センタ ー建設は町長の公約としても掲げられ、平成25年度から具体化されてきた。
中標津町子ども・子育て支援事業計画(平成27 年度~平成31年度)は、上記計画の基 本的な考え方を継承するとともに、「中標津町児童センター(愛称は『みらいる』)」を拠点 とした児童館事業の更なる充実を目指すものとなっている。
これらの計画はすべて町の上位計画である「第5期・第6期中標津町総合発展計画」と 整合性の持ったものとして定められており、児童館を拠点とした子育て支援策は町の重要 施策として位置づけられている。
③中標津の児童館施策と取り組み
平成 14 年以前は、児童館は「放課後、児童の安全を確保しながら遊ばせる施設」とさ れており、正規職員の退職後は嘱託職員で補充して、児童がいる時間みの配置とするなど の状況があった。また、児童館の老朽化も進み、「老朽化=廃止」という声も聞かれるよう になっていたという。児童館が児童福祉施設として果たすべき役割が明確になっていない 中での厳しい状況があったといえる。
その一方で、中標津町においても、子どもたちの生きる力の低下に加え、共働き世帯や 要支援家庭の増加も問題となってきていたため、「子どもたちの育ちを乳幼児期から見守り 育てる体制が必要」と言う議論がされ、子育て支援の推進と、ひとり親家庭等、支援を必 要とする家庭の児童も多く登録する放課後児童クラブの充実が検討され、結果、平成 14 年に教育委員会部局にあった児童館を、福祉部局に所管替えしている。
当時の福祉部局の考えは、「児童館を再構築するためには、児童館が果たすべき役割を 組織全体で認識し、児童館のあり方に対する職員意識の底上げを図ること、また何をして いる場所なのかさえも知られていない児童館を住民に広く周知し、その活動について理解